perspective in motion and space
perspective in motion and space

オンスクリーンのデバイスに取り囲まれる現代、私たちは何に対し実体を見出しているのだろうか。
私たちは知覚された要素同士を相対的に眼で捉え、 そこに経験上推測される辻褄の合った関係性を脳内で構築することによって世界を捉えている。
「動き」の存在に着目し、 平面要素を空間へと展開させることによる 新たな知覚体験を模索した。
AWARD
⚫︎武蔵野美術大学 2024年度卒業制作優秀賞
⚫︎NYAA - NEXT YOUND ARTIST AWARD 2024 優秀賞
NYAA 30th ART & NEW MEDIA DIVISION

現代を生きる私たちは、ディスプレイ・スマートフォンといったスクリーンを媒介とし持ち運ぶことで、物理的にその場に存在しない情報と常に接続した生活を行っている。しかし私たちが受け取っている視覚的な刺激は、厳密には液晶端末のRGB端子の発する信号に過ぎない。
リアルな体験の価値や空間コンピューティングの存在感が高まっている今日、これまで向き合ってきた2次元のスクリーン上の情報を3次元の空間へと拡張させることへの可能性を考えたい。
私たちは液晶を通じて、目の前に実体が存在するかのようなリアリティをどういった要素から感じ取っているのか。私たちが実体を知覚する現象自体を問い直し、現実と虚構、実空間と情報との境界をよりシームレスに体験できる表現を探るべきではないだろうか。デバイスが置かれる物理的な環境、空間性など、リアリティを生み出す視覚的な要因を見つめ直すことで、私たちを取りまくスクリーン上の情報の存在を、より自然な知覚作用によって空間へと立たせていくことを試みた。
ミニマムなアニメーションとそれらの同期操作によって、 平面要素を空間へと展開させた新たな知覚体験を模索した。
検証を行う中で見つかった法則である「私たちは知覚された要素同士を相対的に眼で捉えている」「そこに経験上推測される辻褄の合った関係性を脳内で構築することによって世界を捉えている」ということに基づいた。
複数台のディスプレイを同期させたインスタレーションを制作。オンスクリーンにおける、動きの要素を空間へと展開させた表現の基礎研究として展示を行った。